BAGTOWN COFFEE BLOG

エチオピアからコーヒーを直輸入して自分たちで検疫、通関した話

エチオピアからコーヒーを直輸入して自分たちで検疫、通関した話

山本篤司

2023年秋のことでしたSCAJ会場で仲良しのBase Coffee樫本さんとランチをしていたときのことでしたいまからMoplacoのエレアナさんと会うんだけど来ない?とエレアナさんという方はエチオピアコーヒーの最重要人物なのです 英語を喋ることができないのになぜかトントン拍子にエチオピアに渡航することになる樫本氏。僕にも12月X日アジスアベバ集合とのお誘いが。 一人でエチオピアに行かせるのは心配ですし、とても行ってみたい生産国。しかし12月は繁忙期であり、翌2月に中米訪問が決まっていた僕は樫本氏を見捨てました 結局、彼は仲間と共にエチオピアを訪問して僕は後日サンプルを一緒にカップすることになるのです美味しい。欲しい。買おう。ここで普通のコーヒー屋さんであれば知り合いの商社に輸入手続きを依頼するのですが、何故か自分たちで全て手続きすることになりました。エレアナさんに紹介いただいた久田さんという謎のおじさんのお力添えなくては実現できないことでした久田さんは40年以上に渡り、のべ20年以上をエチオピアに住んでいたという方です久田さんの面白そうな話も多いのですがまた別の機会に そして2024年7月僕たちは関西空港に自分たちのコーヒーを受け取りに行ったのです植物検疫、食物検疫、税関。普段は流通のプロしかいない場所で右往左往する僕たち困惑顔の役所の皆さん ともあれ、僕たちは自分たちでコーヒーを輸入することに成功しましたシダモ地区のウオッシュドナチュラルRed Honey3種類のコーヒーですとても少量ですし、別に安くついたりもしませんでしたでもここから何か面白いことができそうな気がしています

エチオピアからコーヒーを直輸入して自分たちで検疫、通関した話

山本篤司

2023年秋のことでしたSCAJ会場で仲良しのBase Coffee樫本さんとランチをしていたときのことでしたいまからMoplacoのエレアナさんと会うんだけど来ない?とエレアナさんという方はエチオピアコーヒーの最重要人物なのです 英語を喋ることができないのになぜかトントン拍子にエチオピアに渡航することになる樫本氏。僕にも12月X日アジスアベバ集合とのお誘いが。 一人でエチオピアに行かせるのは心配ですし、とても行ってみたい生産国。しかし12月は繁忙期であり、翌2月に中米訪問が決まっていた僕は樫本氏を見捨てました 結局、彼は仲間と共にエチオピアを訪問して僕は後日サンプルを一緒にカップすることになるのです美味しい。欲しい。買おう。ここで普通のコーヒー屋さんであれば知り合いの商社に輸入手続きを依頼するのですが、何故か自分たちで全て手続きすることになりました。エレアナさんに紹介いただいた久田さんという謎のおじさんのお力添えなくては実現できないことでした久田さんは40年以上に渡り、のべ20年以上をエチオピアに住んでいたという方です久田さんの面白そうな話も多いのですがまた別の機会に そして2024年7月僕たちは関西空港に自分たちのコーヒーを受け取りに行ったのです植物検疫、食物検疫、税関。普段は流通のプロしかいない場所で右往左往する僕たち困惑顔の役所の皆さん ともあれ、僕たちは自分たちでコーヒーを輸入することに成功しましたシダモ地区のウオッシュドナチュラルRed Honey3種類のコーヒーですとても少量ですし、別に安くついたりもしませんでしたでもここから何か面白いことができそうな気がしています

コーヒー豆、種、beans or seeds?

山本篤司

コーヒーを飲むとき、それは必ずコーヒーの種子を焙煎したものをつかっているはずですタネなので熱加工しないとあんまり美味しくなさそうですし、実際おいしくないですコーヒーはコーヒーノキという樹木に結実する果実、いわゆるフルーツであり、その種にはあまり価値がなかった時代があった。と僕は思っていますそもそもフレッシュフルーツとしてのコーヒーは甘味はありますが、若干の青い味もあり、チェリーの大きさに比較して大きな種子なので食べるところがあまりありませんコーヒーの発祥の地であるエチオピアでは葉を焙じてお茶にして飲んでいたようですイエメンで果実と果皮を乾燥させて煮出す飲み物があって、ギシルコーヒーと呼ばれています現在ではこの果実と果皮は カスカラ と呼ばれていて、アサイーの15倍の抗酸化力を持つスーパーフードとして注目されています当店でも取り扱いがありますので、ぜひ試してみてください[カスカラ] 最初にコーヒー豆を焙煎した人は天才だと思うのですが、その起源はよくわかっていませんイエメンでアラブのお坊さんが眠気覚ましにギシルコーヒーを飲んでいるとき、もういらないとチェリーを焚き火にくべたところ、何故か周囲に良い香りが漂ってきて...という伝説はあるようですが。 コーヒー豆、とはいうものの実態はコーヒーの種で英語でも Coffee SeedsではなくてCoffee Beansと呼ばれます コーヒーの歴史についてもっと知りたい方は旦部 幸博さんが書かれた "珈琲の世界史"という本を読んでみてください

コーヒー豆、種、beans or seeds?

山本篤司

コーヒーを飲むとき、それは必ずコーヒーの種子を焙煎したものをつかっているはずですタネなので熱加工しないとあんまり美味しくなさそうですし、実際おいしくないですコーヒーはコーヒーノキという樹木に結実する果実、いわゆるフルーツであり、その種にはあまり価値がなかった時代があった。と僕は思っていますそもそもフレッシュフルーツとしてのコーヒーは甘味はありますが、若干の青い味もあり、チェリーの大きさに比較して大きな種子なので食べるところがあまりありませんコーヒーの発祥の地であるエチオピアでは葉を焙じてお茶にして飲んでいたようですイエメンで果実と果皮を乾燥させて煮出す飲み物があって、ギシルコーヒーと呼ばれています現在ではこの果実と果皮は カスカラ と呼ばれていて、アサイーの15倍の抗酸化力を持つスーパーフードとして注目されています当店でも取り扱いがありますので、ぜひ試してみてください[カスカラ] 最初にコーヒー豆を焙煎した人は天才だと思うのですが、その起源はよくわかっていませんイエメンでアラブのお坊さんが眠気覚ましにギシルコーヒーを飲んでいるとき、もういらないとチェリーを焚き火にくべたところ、何故か周囲に良い香りが漂ってきて...という伝説はあるようですが。 コーヒー豆、とはいうものの実態はコーヒーの種で英語でも Coffee SeedsではなくてCoffee Beansと呼ばれます コーヒーの歴史についてもっと知りたい方は旦部 幸博さんが書かれた "珈琲の世界史"という本を読んでみてください

スペシャルティコーヒーってなんだ?

スペシャルティコーヒーってなんだ?

山本篤司

山本です オンラインショップをはじめて一ヶ月ありがたいことにポツポツとご注文をいただいています日々コーヒーのことばかりとはいえ、焙煎や諸々の雑務に追われ最近では店頭に立つ時間も随分と少なくなってしまいました毎日たくさんのインプットや気づきがあって、アウトプットも必要だろうということで。遅ればせながらブログを始めてみます ニカラグアでみたゲイシャ種の花。とてもよい香りがします Specialty coffeeスペシャルティコーヒーと呼ばれるものの定義についてですが、じつはとても曖昧なのです当店も会員である"日本スペシャルティコーヒー協会"の定義をみてみましょう 消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)具体的には、生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。そして、適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。さらに、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現されることが求められる。日本スペシャルティコーヒー協会は、生産国から消費国にいたるコーヒー産業全体の永続的発展に寄与するものとし、スペシャルティコーヒーの要件として、サステナビリティとトレイサビリティの観念は重要なものと考える。 一言で要約するならは 美味しいコーヒー ということになるのでしょうか美味しいコーヒーは昔からあったはずですが、なぜ近年になってスペシャルティなの?スペシャルティ登場以前にもコーヒーのグレード、等級は存在していましたし、今も使われていますブラジルならば No.2、No.3...コロンビアならば スプレモ、エキセルソ...タンザニアならば AA、AB...グァテマラは SHB、HB...でもこれって粒の大きさや農園の標高、欠点数しか見ていなかったのです味に関しては誰も確認していない状態のコーヒーが流通していた歴史が長くありますたとえばAAより美味しいABとか。普通にあるわけです日本酒には昔、一級酒、二級酒といったランクがありましたが(今はないです)、日本酒の方が人間による官能評価をしていたぶん、正当に近いものだったかもしれません コロンビアマイルドという言葉を聞いたことがありますか?コロンビアのコーヒーはマイルドでおいしいよ! という意味ではありませんアラビカコーヒーの先物取引所はニューヨークにありますが、ここでは コロンビア、ケニア、タンザニアの水洗式のコーヒーをコロンビアマイルド、その他の国の水洗式コーヒーをアザーマイルド、それ以外のアラビカコーヒーはアザーアラビカと呼び、コロンビアマイルドがいちばん上等なものとされていました。今思うとザックリとした区分けです。ちなみに他の国の等級は産地の標高で分けることが多いですがコロンビアマイルドの3カ国は豆の大きさで分けています。コーヒーは高地で栽培したほうが品質が良いとされています。低地は暑い赤道直下に位置する3カ国でアラビカコーヒーを栽培するためにはある程度の標高が担保されているのですこのへんの話はすごく長くなりそうだ。書いていてそう思いましたので別の記事を近々投稿します アメリカンコーヒーと呼ばれるものがあります。日本ではコーヒーをお湯で薄めたものが喫茶店で提供されていた時期もありますが、本来のアメリカンコーヒーというのは安く仕入れた生豆を浅煎り焙煎して、濃度を薄く抽出していたものですこれはアメリカ人がそういったコーヒーを好んでいたわけではなくて 安い生豆を (安いから) 浅煎りで (燃料代削減、焙煎時間コスト削減) 薄く(たくさんの液体になるから) 保温ポットで (店舗やオフィスでのオペレーションコスト削減) こういうものをガブガブ飲みましょう。というものだったようです。当時は冷戦下ですから中米諸国の共産国化を阻止するためにこれらの国のコーヒーを大量に輸入して消費しなければいけなかったという事情もありました 美味しくないんじゃないの?と心配される方もいらっしゃると思いますが、ほんとに美味しくなかったようで1970年代末にはアメリカのコーヒー消費量は減ってしまいます。だってコーラのほうが美味しいですからそんなアメリカは西海岸で Peet's...

スペシャルティコーヒーってなんだ?

山本篤司

山本です オンラインショップをはじめて一ヶ月ありがたいことにポツポツとご注文をいただいています日々コーヒーのことばかりとはいえ、焙煎や諸々の雑務に追われ最近では店頭に立つ時間も随分と少なくなってしまいました毎日たくさんのインプットや気づきがあって、アウトプットも必要だろうということで。遅ればせながらブログを始めてみます ニカラグアでみたゲイシャ種の花。とてもよい香りがします Specialty coffeeスペシャルティコーヒーと呼ばれるものの定義についてですが、じつはとても曖昧なのです当店も会員である"日本スペシャルティコーヒー協会"の定義をみてみましょう 消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)具体的には、生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。そして、適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。さらに、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現されることが求められる。日本スペシャルティコーヒー協会は、生産国から消費国にいたるコーヒー産業全体の永続的発展に寄与するものとし、スペシャルティコーヒーの要件として、サステナビリティとトレイサビリティの観念は重要なものと考える。 一言で要約するならは 美味しいコーヒー ということになるのでしょうか美味しいコーヒーは昔からあったはずですが、なぜ近年になってスペシャルティなの?スペシャルティ登場以前にもコーヒーのグレード、等級は存在していましたし、今も使われていますブラジルならば No.2、No.3...コロンビアならば スプレモ、エキセルソ...タンザニアならば AA、AB...グァテマラは SHB、HB...でもこれって粒の大きさや農園の標高、欠点数しか見ていなかったのです味に関しては誰も確認していない状態のコーヒーが流通していた歴史が長くありますたとえばAAより美味しいABとか。普通にあるわけです日本酒には昔、一級酒、二級酒といったランクがありましたが(今はないです)、日本酒の方が人間による官能評価をしていたぶん、正当に近いものだったかもしれません コロンビアマイルドという言葉を聞いたことがありますか?コロンビアのコーヒーはマイルドでおいしいよ! という意味ではありませんアラビカコーヒーの先物取引所はニューヨークにありますが、ここでは コロンビア、ケニア、タンザニアの水洗式のコーヒーをコロンビアマイルド、その他の国の水洗式コーヒーをアザーマイルド、それ以外のアラビカコーヒーはアザーアラビカと呼び、コロンビアマイルドがいちばん上等なものとされていました。今思うとザックリとした区分けです。ちなみに他の国の等級は産地の標高で分けることが多いですがコロンビアマイルドの3カ国は豆の大きさで分けています。コーヒーは高地で栽培したほうが品質が良いとされています。低地は暑い赤道直下に位置する3カ国でアラビカコーヒーを栽培するためにはある程度の標高が担保されているのですこのへんの話はすごく長くなりそうだ。書いていてそう思いましたので別の記事を近々投稿します アメリカンコーヒーと呼ばれるものがあります。日本ではコーヒーをお湯で薄めたものが喫茶店で提供されていた時期もありますが、本来のアメリカンコーヒーというのは安く仕入れた生豆を浅煎り焙煎して、濃度を薄く抽出していたものですこれはアメリカ人がそういったコーヒーを好んでいたわけではなくて 安い生豆を (安いから) 浅煎りで (燃料代削減、焙煎時間コスト削減) 薄く(たくさんの液体になるから) 保温ポットで (店舗やオフィスでのオペレーションコスト削減) こういうものをガブガブ飲みましょう。というものだったようです。当時は冷戦下ですから中米諸国の共産国化を阻止するためにこれらの国のコーヒーを大量に輸入して消費しなければいけなかったという事情もありました 美味しくないんじゃないの?と心配される方もいらっしゃると思いますが、ほんとに美味しくなかったようで1970年代末にはアメリカのコーヒー消費量は減ってしまいます。だってコーラのほうが美味しいですからそんなアメリカは西海岸で Peet's...